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 都市交通(LRT,バス,地下鉄など)の話題 —

2006年12月26日

【セビリャ】聖週間には架線取り外し?

アンダルシア州セビリャ(Sevilla/Seville)で建設が進められている路面
電車の,メトロセントロ(Metrocentro).
すでにご紹介しているように,その建設の様子がストリーミング配信で
映像公開されていて,そこで見える範囲では,すでにレールも敷かれて
いることが伺えます.
ストリーミング配信で映像が提供されているページで,下段に映っている
コンスティトゥシオン通り(Avenida de la Constitución)の先のほうは,
ちょうどセビリャ大聖堂(Catedral de Sevilla)の前を通る区間になり
ますが,そこでは軌道敷設はまだ完了していないように見えます.

大聖堂前ではメトロセントロは単線になります.さらに,当面は架線が
張られますが,いずれは大聖堂前では架線を撤去して,電車はバッテリー
走行などにより,架線なしで運転される計画ですが,この件で先日報道が
ありました.新たな情報も少しあります.

まず,暫定開業時の車両の諸元が発表されたようです.4本が導入される
ことになりますが,車体幅は2.4m,全長は30mで,車長は将来の需要増に
備えて40mへ延長できることなどです.
8月にもお伝えしているように,大聖堂前を架線走行する暫定開業では,
電車を何処かから借りてくることになります.セビリャで建設たけなわの
メトロ(都心部では地下を走り,郊外では地上走行のライトレール)車両が
有力視されていると,その時点では書きましたが,すでに一部納入されて
いるCAF製のメトロは車体幅2.65mですので,対象外でした.

電車のレンタル契約として,月間16万ユーロまで予算が組まれています.
借りてくる車両は,総選挙の行われる来年5/27の約一ヶ月前,4/20までに
調達しなければなりません.2/15が期限のようです.
低床車は引く手あまたで,とても貸出しできる余裕のあるところなどない
と思われますが,新線開業=低床車導入という先入観をはずせば(高床車
なら),廃車間近の中古車がどこかにあるのでしょう.

大聖堂前の架線レスは,景観保護だけが理由ではないかもしれません.
下記で紹介の記事には,2008年の聖週間(セマナ・サンタ / Semana Santa
/ Holy Week)が出てきます.
聖週間とは,イースター(復活祭)の前の1週間のことで,キリスト教では
その週に行われる典礼が,非常に重要な位置を占めているそうです.
なかでもセビリャのものは有名らしく,なかでも聖母マリアの悲しみを
表現する彫像を乗せた,パソ(paso)と呼ばれる車輪のない山車のような
台座が街中を通り,その経路にコンスティトゥシオン通りの大聖堂前が
含まれているのです.
この行列が聖週間の間ずっと続くのかどうかわかりませんが,架線がある
場合には,その間は架線を外さなければならないようで,2007年の聖週間
では開業前で問題ありませんが,2008年(イースターは3/23で聖週間は
3月中旬)には,架線の取り外しと行列終了後の再取付けが必要になるの
です.この話は,古くは京都市電を想い起こさせますし,今でも祭りの
時期に同じようなことを行っているところが,日本にもあると聞きます.

果たして,架線レス化が完了しバッテリー走行が可能になっても,行列の
最中に電車を動かせるとは思えず,単に,行列の観覧席設置の邪魔になら
ずに済むとか,架線の付け外し作業を省けるということかもしれません.
架線レスにする区間は,コンスティトゥシオン通りとAlmirantazgoの角
から,同じくAlemanesの角までで,ちょうど大聖堂前の1ブロックです.

とりあえずレンタルしてきた電車は18か月間働いて,その後は購入される
5本の正規車両が代わります.それらはバッテリーなどにより架線なしで
走れる性能を備えていなければなりません.予算は2200万ユーロです.

その他,メトロセントロ計画で影響を受けることが予想され,既に工事の
通行止めなどにより仕事場を追われたタクシー運転手らが,計画中止?を
求めて訴えを起こしていて,その進展も先週報道されていました.詳細は
よくわかりません.

(外部リンクは新しいウィンドウで開きます)
23 de diciembre de 2006 Monteseirín contrata su foto en el tranvía
(ABC Sevilla ニュースへのリンク)

メトロセントロ・ストリーミング映像配信 : Metrocentro en directo
(Ayuntamiento de Sevilla 公式サイトへのリンク)
ヌエバ広場(Plaza Nueva)のカメラ角度が少し変わりましたが,現在開催
されている彫刻展を,映し出すためかもしれません.

セビリャ メトロの車両諸元 :
SEVILLE LIGHT SUBWAY (CAF 公式サイトへのリンク)

下記掲示板の投稿#63には,メトロセントロの第一期区間の終点となる
プラサ・ヌエバ(Plaza Nueva)で行われている屋外彫刻展の様子から,
ストリーミング配信のページでは死角になる場所,大聖堂前の工事現場の
画像なども見ることができます.
Seguimiento de las obras de Metrocentro. Sevilla (p4)
(SkyscraperCity 掲示板へのリンク)

工事が終わり,レールが敷かれた以外は元に戻ったコンスティトゥシオン
通り(Avenida de la Constitución)の夜景 :
December 16, 2006 La Nueva Avenida por Javier Almarza
Uploaded by Javier Almarza (flickr)

誤訳や誤解で内容が間違っていましたら,ご容赦ください.

セビリャ メトロセントロ(Metro_Centro) 関連過去ログ :